武家屋敷通りを歩く、「みちのくの小京都」角館さんぽ日帰りプラン

旅の始まりは安藤醸造です。嘉永6年(1853)創業の味噌・醤油の醸造元で、代々角館の地主を務めてきた安藤家が、副業として醸造業を手がけたのが始まりと伝えられています。本店には、東北でも最も古いとされる「座敷蔵」と「文庫蔵」がれんが造りのまま残されており、座敷蔵は今も冠婚葬祭の場として使われています。蔵の中を見学したあとは、味噌や醤油の試食もでき、伝統の製法から生まれる味わいを確かめることができます。この後は、歩いておよそ5分、新潮社記念文学館へ向かいましょう。
安藤醸造から歩いておよそ5分、新潮社記念文学館に着きます。出版社・新潮社の創業者で、角館町出身の佐藤義亮の生涯と功績を紹介する文学館です。義亮は明治28年(1895)、17歳で単身東京へ出て、印刷所で働くなどしたのち、明治29年(1896)、新潮社の前身となる新声社を興して雑誌『新声』を創刊し、のちに数々の文豪の作品を世に送り出す出版社へと育て上げました。館内には、義亮の直筆原稿や書簡、新潮社にゆかりのある文豪たちの資料が展示されており、角館から日本の近代文学を支えた一人の生涯をたどることができます。この後は、歩いておよそ9分、角館武家屋敷通りへ向かいましょう。

新潮社記念文学館から歩いておよそ9分、角館武家屋敷通りに着きます。江戸時代の武家町の面影を色濃く残す、国の重要伝統的建造物群保存地区です。この地を治めた佐竹北家の初代・義隣は、京都の公家の家から養子に入った人物で、望郷の思いから角館の地に「小倉山」「加茂川」など京都にちなむ名を付けたと伝えられています。義隣の子・義明のもとに京都から嫁いだ妻が持参した3本の苗木が始まりと伝えられるしだれ桜は、今では400本ほどに増えて通りを彩り、樹齢300年を超える古木も多く、162本が国の天然記念物に指定されています。この歴史が、角館が「みちのくの小京都」と呼ばれる由来のひとつになっています。黒板塀が続く通り沿いには、内部を公開している屋敷も多く、当時の武家の暮らしぶりをうかがい知ることができます。今も人が暮らしている屋敷もあるので、公開されていない屋敷には入らず、静かに歩きましょう。しだれ桜と黒板塀が織りなす「みちのくの小京都」の町並みを、ゆっくりと歩いて楽しみましょう。この後は、歩いておよそ5分、角館樺細工伝承館へ向かいましょう。

武家屋敷通りから歩いておよそ5分、角館樺細工伝承館に着きます。樺細工は、山桜の樹皮を使った角館ならではの工芸品で、天明年間(1781〜1789)ごろ、佐竹北家の武士・藤村彦六がよそから製法を伝えたのが始まりとされています。もともとは下級武士の内職として、印籠や根付などが手がけられていましたが、明治維新後、職を失った武士たちがこれを本業とするようになり、角館を代表する産業へと育っていきました。館内には、木肌の美しさを生かした茶筒や文箱などの製品が並び、山桜の樹皮とは思えないほどの精巧な仕上がりに驚かされます。武家屋敷の町並みを歩いたあとにこの伝承館を訪れると、武士の暮らしと手仕事のつながりが、より身近に感じられます。この後は、歩いておよそ3分、角館歴史村・青柳家へ向かいましょう。
角館樺細工伝承館から歩いておよそ3分、角館でも指折りの規模を誇るとされる武家屋敷、角館歴史村・青柳家に着きます。佐竹北家の重臣を務めた青柳家の屋敷を公開したもので、広い敷地には、当時のままの主屋のほか、武具を展示する武器庫、『解体新書』にゆかりの品を集めた解体新書記念館、秋田の郷土資料を展示する秋田郷土館、生活道具を紹介する武家道具館、洋館のハイカラ館、幕末の写真資料を展示する幕末写真館など、複数の見学施設が点在しています。時代体験庵では、着物の試着体験も楽しめます。四季折々の表情を見せる庭園も見どころの一つで、青々とした木々や苔むした庭石が、屋敷の落ち着いた佇まいを引き立てています。ここで昼食にするのもおすすめです。敷地が広く見どころも多いので、時間に余裕を持って歩いてみましょう。この後は、歩いておよそ5分、平福記念美術館へ向かいましょう。
角館歴史村・青柳家から歩いておよそ5分、仙北市立角館町平福記念美術館に着きます。角館出身の日本画家・平福穂庵と、その子で同じく日本画家として活躍した平福百穂、親子2代の作品を中心に紹介する美術館です。穂庵は幕末から明治にかけて、狩野派や円山四条派の画法を学びながら独自の画風を確立し、百穂もまた、父の画業を受け継ぎながら、近代日本画の新しい表現を切り開いた画家として知られています。角館が育んだ絵師たちの作品に、じっくりとふれてみましょう。この後は、歩いておよそ5分、桧木内川堤へ向かいましょう。
平福記念美術館から歩いておよそ5分、角館の町を流れる桧木内川の堤に着きます。左岸の堤防上には、総延長およそ1,950mにわたってソメイヨシノの並木道が続いており、昭和9年(1934)、地元の住民有志や小中学生の手によって苗木が植えられたのが始まりと伝えられています。桜のトンネルが見られるのは春(例年4月下旬ごろ)のわずかな期間だけですが、それ以外の季節も、川のせせらぎを聞きながら歩ける気持ちの良い散策路として親しまれています。武家屋敷通りの重厚な黒板塀とはまた違う、開放的な川辺の景色を眺めながら、旅の締めくくりに歩いてみましょう。安藤醸造から武家屋敷通り、青柳家とめぐった、角館さんぽも、ここで終わりです。

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