天鼓林と石門、昇仙峡を歩いて上り甲府の町もめぐる1泊2日

この旅はバスと歩き、ロープウェイでめぐります。甲府駅に11時ごろ着いたら、駅のまわりで昼食にしましょう。昇仙峡の渓谷を歩く途中では食事がとりにくいので、ここで食べてから向かいます。
昼食のあと、甲府駅南口のバスターミナルから山梨交通バスで約30分、昇仙峡口で降りてすぐです。バスの時刻は公式の案内で確かめましょう。昇仙峡の入口、天神森で荒川に架かるアーチ橋で、1925年(大正14年)に完成しました。山梨県内に残る戦前のコンクリートアーチ道路橋の中ではもっとも古いものとされ、2012年には土木学会の選奨土木遺産に選ばれています。ここから上流の仙娥滝までのおよそ4kmは「御嶽昇仙峡」として1953年に国の特別名勝に指定され、名前のついた奇岩がいくつも続きます。ここから、この渓谷を歩いて上ります。橋の上から、これから分け入る谷の入口を眺めてから出発しましょう。遊歩道を40分ほど上ったところには、山梨県の天然記念物に指定されている天鼓林があります。林の中の決まった場所で足を強く踏み鳴らすと、地面の下から鼓を打つような音が返ってくることで知られる林です。こうした音が聞こえる林は、岩盤の固い奥秩父の山々に見られるといわれ、昇仙峡のものはとりわけ音がよく響くとされています。トイレもあるので、渓谷歩きのひと休みにもちょうどよいところです。林を傷めないよう、道から外れずに音を確かめてみましょう。

長潭橋から天鼓林をへて、渓谷沿いの遊歩道を約1時間15分上ると、昇仙峡のシンボル・覚円峰が目の前にそびえます。花崗岩が長い年月をかけて風化と川の流れに削られ、高さ約180mにわたってほぼ垂直に切り立った岩峰です。その昔、覚円という僧がこの頂で修行したという言い伝えが、名前の由来とされています。あたりには「夢の松島」と呼ばれる景色も広がり、白い岩肌と松の緑、秋には紅葉が重なる眺めは渓谷歩きのハイライトです。遊歩道は車道と並ぶ区間もあるので、車に気をつけ、柵の外には出ないようにしましょう。
覚円峰から少し上ると、道ばたに長田円右衛門の碑が立っています。江戸時代の天保年間、地元の円右衛門が親族や村々の協力を得て、9年の歳月をかけてこの荒川沿いに「御岳新道」を切り開き、それが今の昇仙峡の道のもとになったと伝えられています。碑を過ぎた先にあるのが石門です。巨大な花崗岩が寄り合ってできた天然のアーチで、よく見ると岩の先端どうしはわずかに離れているのに、崩れずに今の姿を保っています。道はこの門の下をくぐって続くので、頭上の岩や足元の段差に気をつけて通り抜けましょう。石門をくぐって昇仙橋を渡ると、覚円峰から歩いて約15分で、渓谷のいちばん奥にかかる仙娥滝に着きます。落差は約30m、花崗岩の岩肌を削りながら勢いよく流れ落ちる滝で、「日本の滝百選」にも選ばれています。名前は、中国の伝説で月に昇ったとされる仙女・嫦娥にちなむと伝えられています。長潭橋から歩いてきた渓谷のゴールらしく、水しぶきと滝の音に包まれる場所です。滝のまわりの岩は濡れて滑りやすいので、足元に気をつけましょう。ここから180段ほどの石段を上ると、お店の並ぶ滝上に出ます。
滝上から歩いて約10分の仙娥滝駅からロープウェイに乗り、約5分で山上のパノラマ台駅へ。1964年に開業したロープウェイで、晴れた日には富士山や南アルプスの山々を見渡せます。山上には、樹齢350年を超えるといわれる楢の木をまつる「和合権現」もあります。祈りの場でもあるので、静かに、敬意をもってお参りしましょう。冬は運転の終わる時刻が早くなり、強風などで運休することもあるので、お出かけ前に公式の案内を確かめましょう。
ロープウェイで下りたら、滝上の通りを歩きましょう。昇仙峡の奥の山々は水晶を産したところで、江戸時代に京都の職人から水晶を磨く技を学んだことが、のちに甲府が宝飾の町として発展するもとになったといわれます。この歩みは、日本遺産「甲州の匠の源流・御嶽昇仙峡」の物語にもなっています。通りには水晶や宝石を扱う店が並び、きらめく石を眺めながら歩くだけでも楽しいひとときです。今夜は甲府駅周辺の宿へ。昇仙峡滝上のバス停から甲府駅まではバスでおよそ1時間です。帰りのバスは本数が少ないので、最終便の時刻を公式の案内で確かめましょう。冬から春先にかけては、滝上を夕方に出るバスがないことがあります。

山梨県日帰り
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