熊野古道 大門坂と那智山、鯨とともに歩んできた太地の町をめぐる日帰りプラン

旅の始まりは、JR那智駅から歩いておよそ3分の補陀洛山寺です。仁徳天皇の時代の創建と伝えられる天台宗の寺院で、南海の彼方にあるとされる観音浄土を目指す「補陀洛渡海」の信仰で知られています。本堂には、平安時代作と伝わる国の重要文化財・木造千手観音立像が安置されています。境内には、渡海船を復元した実物大の模型もあります。静かに、敬意をもって拝観しましょう。この後は、バスでおよそ10分、熊野古道 大門坂へ向かいましょう。

補陀洛山寺からバスでおよそ10分、こちらが世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産のひとつ、熊野参詣道の入口、大門坂です。大門坂という名前は、坂の入口にかつて「大門」という門が建っており、参詣者から通行税にあたる関銭を徴収していたことに由来すると伝えられています。入口に立つひときわ大きな杉は「夫婦杉」と呼ばれ、高さ54.5m、幹の周りは8.5mにもおよぶ、樹齢およそ800年の御神木です。周辺には樹齢200〜300年ほどの杉並木、約200本が続き、県の天然記念物にも指定されています。また、植物学者として知られる南方熊楠が、近くの旅館に3年間滞在してこの一帯の植物を研究したという逸話も残っています。1986年には「日本の道100選」にも選ばれました。苔むした石畳の石段が長く続く道は、まさに「歩く世界遺産」と呼ぶにふさわしい雰囲気です。杉の香りと木漏れ日を感じながら、参詣者たちが歩いた道をゆっくりと登ってみましょう。石段は滑りやすいところもありますので、歩きやすい靴でお越しいただくと安心です。この後は、石段の続く参道を歩いておよそ25分、那智の滝へ向かいましょう。
大門坂から歩いておよそ25分、那智の滝(那智大滝)に着きます。落差133m、幅13mの滝で、華厳の滝・袋田の滝と並ぶ「日本三名瀑」の一つともいわれます。熊野那智大社の別宮・飛瀧神社では、社殿を建てずにこの滝そのものをご神体としてまつっていて、自然を神として敬う古い信仰の形が見られます。流れ落ちる水が三つの筋に分かれて見えることから「三筋の滝」の名もあり、1972年に「那智大滝」の名で国の名勝となりました。鳥居をくぐって石段を進んだ先の「お滝拝所舞台」からは、滝つぼの近くで滝を見上げられます。滝のそばの石段は水しぶきでぬれていることがあるので、ゆっくり足元を確かめながら歩きましょう。今も祈りが続く場所ですので、静かに、敬意をもってお参りしましょう。この後は、歩いておよそ4分、那智山勝浦線のあたりへ向かいましょう。
那智の滝から歩いておよそ4分、那智山勝浦線のあたりに着きます。このあたりで昼食にしましょう。この後は、歩いておよそ8分、青岸渡寺へ向かいましょう。
那智山勝浦線のあたりから歩いておよそ8分、青岸渡寺に着きます。仁徳天皇の時代、インドから渡来した裸形上人が、那智の滝の滝壺で観音像を感得したのが始まりと伝えられる天台宗の寺院で、西国三十三所第1番札所として、今も多くの巡礼者を集めています。豊臣秀吉によって再建されたと伝わる本堂は国の重要文化財に指定されており、朱塗りの三重塔越しに那智の滝を望む景色は、那智山を象徴する眺めとして知られています。静かに、敬意をもって拝観しましょう。この後は、歩いておよそ4分、三重塔へ向かいましょう。
青岸渡寺から歩いておよそ4分、朱塗りの三重塔に着きます。かつての塔は明治の廃仏毀釈で取り壊され、現在の塔は1972年、およそ400年ぶりに再建されたものです。高さ25m、一辺12mの塔で、那智の滝を背景に抱くように建つ姿は、那智山を象徴する眺めのひとつです。エレベーターで上れる最上階からは、那智の滝を望む景色を楽しめます。この後は、歩いておよそ5分、熊野那智大社へ向かいましょう。
三重塔から歩いておよそ5分、熊野那智大社に着きます。熊野三山のひとつに数えられる古社で、熊野の神々の中でも中心的な存在とされる夫須美神をまつっています。創建の時期ははっきりしていませんが、那智の滝を神と仰ぐ古代の自然崇拝が、社殿を持つ信仰の形へと発展していったと考えられています。鮮やかな朱塗りの社殿が立ち並ぶ境内からは、那智の滝を遠くに望むこともできます。樹齢850年ともいわれる御神木の大楠には、幹の中をくぐり抜けられる「胎内くぐり」もあります。静かに、敬意をもってお参りしましょう。この後は、那智山のバス停まで歩いておよそ6分。那智山線のバスでおよそ26分、山を下って紀伊勝浦駅へ向かい、JR紀勢本線に乗りかえて、およそ7分の太地駅へ向かいましょう。紀伊勝浦駅では、電車を待つ時間があります。バスの時刻は、公式の時刻表で確かめましょう。
JR太地駅から歩いておよそ29分、太地町立石垣記念館に着きます。太地に生まれ、アメリカ・ニューヨークを拠点に活動した洋画家・石垣栄太郎の作品を紹介する記念館です。異国の地で社会の現実を見つめ続けた画家の作品を、じっくりと鑑賞してみましょう。休館日があるので、訪れる前に公式サイトで確かめましょう。この後は、歩いておよそ13分、太地町立くじらの博物館へ向かいましょう。
太地町立石垣記念館から歩いておよそ13分、太地町立くじらの博物館に着きます。昭和44年(1969)に開館した、鯨をテーマにした博物館です。古式捕鯨の時代から現代まで、太地町と鯨との関わりの歴史を、資料や骨格標本、模型を通して紹介しています。館内には実物大のクジラの模型や、捕鯨で使われてきた道具も展示されており、隣接する施設ではイルカのショーを見ることもできます。世界遺産の参詣道から一転、海とともに生きてきた太地町の歴史にふれてみましょう。補陀洛山寺・大門坂・那智の滝・青岸渡寺・熊野那智大社と巡った、世界遺産の参詣道と那智勝浦・太地の海をめぐる旅も、ここで終わりです。帰りは、くじら館のバス停から町営じゅんかんバスでおよそ8分、JR太地駅へ向かいましょう。バスの時刻は、町の時刻表で確かめましょう。

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